漢方

新しい科学的漢方医学とは

 従来の漢方は解剖学の知識の乏しかった江戸時代の経験的漢方がそのまま現代に引きつがれ「四診(望聞問切)」と呼ばれる五感による原始的な方法のみで「証」を決め処方も決まるというものでした(方証相対)。しかしながら、それのみでは複雑な病態に対応していくことは困難で科学的ではありません。私は、稀代の名医として有名であった山本巌先生の提唱された新しい科学的漢方医学による診療を行っています。すなわち、病態を現代医学的に把握し、更に歴史的経験的知識を生かした漢方医学的な分析を加え、個々の生薬の作用および相互作用を考慮した上で、病態に合った生薬を組み合わせて処方を作るいわば病態分析的漢方医学です。現代医学の化学薬品のみでは副作用の問題も含めすべての病態に対応することは困難です。漢方の生薬は薬の宝庫であり、このような科学的アプローチにより様々な病態に対応し治療していくことが可能となります。これは薬物療法の中でも現代医学の化学薬品療法に対する生薬療法とも分類できる治療法です。保険診療で行っておりますが、重篤な病態によっては自由診療(自費診療)となる場合があります。

参考文献
山本哲郎、福冨稔明「胸部交感神経遮断術後の代償性発汗に漢方治療が有効であった原発性多汗症の一例」漢方研究 第424号
山本哲郎、福冨稔明「認知症治療の盲点 抑肝散、ビタミン療法、および抗精神病薬中止で改善した血管性認知症の1例」漢方と診療 第1巻 第2号
山本哲郎「咳漱を主症状とする副鼻腔炎および難治性副鼻腔炎の漢方治療について」漢方研究 第414号
山本哲郎、福冨稔明「胃苓湯が著効を示した難治性感染性腸炎の5例」 第288回 日本内科学会九州地方会抄録
山本哲郎、福冨稔明「脳血管障害後遺症に漢方治療が有効であった2症例」第36回 日本東洋医学会九州地方会抄録
山本哲郎、福冨稔明「典型的な気虚の症候を示したACTH単独欠損症の一例」漢方研究 第425号
山本哲郎、福冨稔明「Collagenous colitisによる難治性下痢に対して漢方治療が有効であった一例」漢方と診療 第1巻 第3号
山本哲郎、福冨稔明「突発性難聴罹患後の難治性耳閉感、耳鳴りが漢方治療で改善した一例」第37回日本東洋医学会九州地方会抄録

糖尿病の漢方治療について

地黄、桂皮、人参という生薬に血糖降下作用を指摘されていますが、実際は血糖コントロールに関しては現代医学が優れており、メトホルミンなど評価の高い化学薬品による治療が基本です。しかしながら血糖コントロールだけでは合併症は完全には予防できないこともわかってきました。それを補うために漢方治療は有効と考えます。漢方治療の優れている点は、慢性炎症に対する抗炎症剤と循環障害に対する駆血剤です。これらを合併症に対して使用していきます。血管合併症の病態は血管内皮細胞の慢性炎症と考えられています。それに対して抗炎症作用のある生薬を組み合わせた処方で対応します。また血管障害による循環障害を漢方医学的にはと考え駆血剤による治療を行っていきます。